人工ピンクス

123,123,123

うつろなワルツ、あるく、ひとり、雨を。

さっきすれちがった女の子のビニール傘の

持ち手の色は雨の街に浮き立つ人工ピンク

沈むことのない色をのせてまわる世界で

雨にも負けズ人類は渇く

ピンクというのはなーんか迷っている色

赤と白の中間にいる色

生まれてきたのと死んでしまったのとの境目

生殖できます、のしるし総天然ピンク

スマートな交配のための個体差

それぞれに違うはずのピンク

でもパッケージは似てるほうが人気、迷うから。

王子様たちは魔法が使えないので

100円ライターを手に

ラブホの片隅で乾燥した愛を燃す

どの個室も同様にボタンだらけ

朝になったらまた

コンビニ・売店で

人工ピンクス

123,123,123

うつろなワルツ、あるく、ひとり、雨を。

さっきすれちがった女の子のビニール傘の

持ち手の色は雨の街に浮き立つ人工ピンク

沈むことのない色をのせてまわる世界で

雨にも負けズ人類は渇く


(2006年ごろの作品)

Poetry Marking

大阪を中心に活動する詩人・ 河野宏子のサイトです。

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